ノノノ・ワールドエンド。ツカサ

2016年2月24日発売。
あらすじ。

“世界の終わりを願った少女"と“世界を壊してしまった少女"
二人ぼっち――おしまいの旅のおはなし

「世界なんて終わっちゃえばいい」
暴力を振るう義父と受け入れるだけの母、良いことなんて何もない毎日に絶望する中学三年生・ノノ。彼女の願いをかなえるかのように、白い霧に包まれた街から人々は消え、滅びのときは数日後に迫った。
望み通りの終末に怯えて逃げ出したノノは「世界が終わっちゃうのは、あたしのせい」と告白する白衣の少女・加連と出会う。そして少女二人きり、何処にも辿り着けないおしまいへ向かう旅が始まる。



望んでいたもの


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すごい小説が出たものだ。
まさかハヤカワ文庫から百合小説が出るとは思わなかった。

主人公の「ノノ」は再婚した母親相手の義父を嫌悪していた。
外面だけよくて家では母に暴力を振るうそんな義父を庇う母親も嫌いだった。
全てを飲み込む霧が町を覆いはじめたときに車で逃げるノノ一家。
そんな車の中でもノノはどこか他人事に考えていた。ケガで片目を失明し家族関係にも希望を持てずどうでもいいと考えていたノノには世界がどうなろうと構わなかった。むしろ世界の終わりを望んでいた

そんな中休憩に立ち寄った場所で母親が殴られる音が聞こえる。
義父に対する怒りとそれでも庇う母親に怒りを感じつつ最後に1発殴ってから2人の前から消えようと思ってたのにいきなり母親が霧に消える。
目の前でいきなり消えた母親に言いようがない恐怖と義父の顔を見た瞬間に怖くて逃げてしまった。
空手をずっとやっていたノノにとって逃げるという選択は間違いで張っていた虚勢が義父の前で解けてしまい追われることに。

外でどんないい人扱いでも暴力を振るのは本当によくない大嫌いだ。
家が救いの場じゃないのって本当につらいよね。よく彼氏と駆け落ちした女の子は馬鹿だなといわれるけど家に居場所がないんだろうね。
親になる資格って必要かな?って思うね、これほど悲しいこともないよね。

逃げた先の駅の近くで1人の少女に出会う。
制服に白衣を着て身にあわない鞄を持った少女「加連」
ノノは比較的に大きいほうだけどそれを差し引いても小さく見える加連になんで子供がこんなところに?と自分のことを棚に上げて疑問に思う。
加連は飛び級を繰り返すほどの天才で海外の研究室で働いていたという。
不審に思いつつも久しぶりに出会えた同い年くらいの女の子に出会えて少し喜ぶノノ。

この出会いが2人の運命を変えることになる。

少しすると怪しい男たちが加連を探しにくるんだけど加連はあいつらこそ正しく自分は悪者だという。
なんでもこの霧は加連のせいだと言う。自分のことを悪者だという加連。
でもノノからするとどうでもよくてただ加連と一緒に居たいと行動を起こす。
空手をやってたからっていきなりとび膝蹴りするノノに笑った。この子強いわいろんな意味で。

放置したあって自転車に乗り2人は東京を目指すことに。
加連にはなにやら東京でやることがあるようで一緒についていくノノ。
この加連が曲者で大人っぽいしゃべり方と裏腹に年相応の言動もするから本当に守ってあげたいと思えるような少女。
そりゃノノもとび膝蹴りの1発ぐらいお見舞いしちゃうよね。これがギャップ萌えか!

途中休憩にお店による。
そこには地下で酒盛りしてるおっさんが3人と若い男が1人、その若い男は幼馴染の女の子を探してるらしいと聞き食料などを探すついでに探すんだけどこのおっさんたちが本当に嫌い。
理性をなくした人間は人じゃないね、ただの動物だわ。
こういう終末系にありがちなおっさんたちだけどいつだって狙われるのは若い女なんだよなぁ本当に不憫。
にしてもよく加連は拳銃のセーフティの外し方わかったね、撃ったことあるのかな以前に。

東京を目指して自転車で旅を続ける2人。
ノノのお祖母ちゃんの家が近くにあるというのでお風呂にも入りたかった2人はお祖母ちゃんの家に。
ここで自宅というか勝手知ったる我が家みたいなとこに行くのって本能なのかな?
冷静に考えれば銭湯でもいいしどっかの民家でも人はいないんだから侵入すればいいのにやっぱり非常事態とはいえ躊躇しっちゃうんだろうね。
私が同じ立場だったら民家にはいけないかもしれないなぁ、お店とかで済まそうって発想しか出ないと思う。
適応ってわけじゃないけど物事にすぐに順応できる人って生き残る率高いと思った瞬間だった。
やっぱり終末とはいえ身に付いた常識や法律ってなかなか捨てられないよね。

念願のお風呂。
ノノと加連が一緒に入る所は屈指の名シーンだね。
友達同士がやるようなことをやってみたかった、と語るノノに優しく答える加連。
本当に終末なのかと疑いたくなるような穏やかな時間とそれでいていつもとは違う街並みのせいで世界に2人しか存在しないのかと思うほどの静寂。
こんな世界なのにお互いを思いやる気持ちを世界の終わりに持つことができた。皮肉にも終末だからこそなのかもしれない。

百合って結構2人だけの世界を構築することがあってそれはカップリングにも表れてるんだよね。
女の子が4人いたら1人のハーレムじゃなくて2組のカップルがほとんどだし、世界を閉じてしまうというかほかにはなにもいらないと思うことが刹那的に感じることもあるけどそれはそれで寂しいことなのかもしれないなぁ。2人だけの世界は甘美すぎて戻れなくなる。

その後一緒に寝る際に語ってくれた加連の東京へ行く本当の気持ち。
アメリカで一緒に暮らしてた「ナオ」に会いに行く意味や複雑な感情にノノは嫉妬する。
自分の知らない加連を知っていながら裏切ったナオに嫉妬と怒りを持つノノは最初に車に乗って希望もなにもない状態だったころからは信じられないほどの感情の昂りにノノ自身も驚く。

「私は――加連のことを、1つも取りこぼさない。どんなことだって、素通りさせたりしない。だって・・・・・・そんなの、もったいないもの」


このセリフを見て初めてこの作品に百合を感じたね。友情から愛情に変わった瞬間だった。
もちろん加連のことを想う気持ちもそうだけどこれからの生き方についての決意表明に聞こえる。
2人しかいないから友情と愛情をうまく区別できてないのかもしれない、でもそんなことどうでもいいよね。
今感じてる感情がノノにとっての全てで加連にとっての救いなんだから。

そして迎えた絶望の朝。
気持ちよく加連とおはようをかわす予定だった朝は義父によって壊される。
にしてもよく気付いたなぁ、普通ここにいるなんて気付かないだろうに少し違和感を覚えたね。
だって自転車で結構な距離を走って霧が濃いといわれてる東京付近に家があるんだよ?まさかいるとは思わないだろうに・・・。
ノノが言うにはこの場所は義父は知らないらしいし、このあたりをしっかり説明してほしかったなぁ事前に伏線とか張ってほしかったと思った。
こっそりノノが通ってた時期があったらしいからその辺りを推測してきたのかな?不思議すぎる。

壁には血を流している加連の姿。
ノノはそれを見て義父を殺そうとするんだけど力の差で叶わない。
そして加連はノノを助けるために引き金に指を掛ける。
義父が死んだことよりも加連に引き金を引かせてしまったことのほうがノノには辛かった。
そのことに愛情を感じるよね、ノノからすれば負い目ももちろんあるんだけどうれしい気持ちもあるんだろうなぁ。
だからこそ今度はノノが加連のために・・・。

東京に向かう2人。
最後の1日が始まる。

霧が濃い中東京に向かう2人の前に慰霊碑が現れる。
この慰霊碑は昔ナオと加連の両親が亡くなった事故のために建てられたものなんだけどナオの目的が霧を世界中にばらまいてお父さんの幽霊に会うことらしい。
霧の本来の目的や成分に関しては小説を読んでほしいところだけどここらへんがSFチックだよね。
なんでナオや加連がこの東京に向かうのか。そしてなぜこんなことになったのかがわかると切ない気持ちになる。
自分のことを悪者だと言っていた加連の気持ちをようやく察することになるノノ。

ようやく会えたナオの前に加連はいない。
少し前に消えてしまいノノだけがナオと対峙することになる。
ここでのノノの絶望は計り知れないね、人って消えるときはあっという間なんだよねドラマのような別れのシーンもなければ思いを告げるシーンもない。
ナオの言葉を聞いてもノノの心は動かない。
逆になんで加連を裏切ったのか、愛してるといったナオの言葉に激怒する。
そしてノノは加連から受け取った拳銃の引き金を・・・。

実は加連は消えたと思ってたんだけど床が抜けて落ちていただけだった。
残り少ない頁数のせいでドキドキが止まらないねこの辺りは。
そして2人は慰霊碑の前に・・・。

ずっと最初から持っていた加連の鞄は使うときがきた。
大事だと言っていたこの鞄には実はものすごい長い時間をかけて霧の濃度を抑える種が入っていた。
今生きている人たちには関係なくて今後の人類に一筋の希望を与える種だ。
それを人生の最後に植えようと提案する加連。
ノノはもちろん断ることはない。
「加連が笑ってくれるのなら、他に何もいらなかった。」
涙が出るよ。これほどの純愛に世界は答えてはくれないんだから。

最後の描写に人々の希望が隠されてると思う。
私は2人は以前の2人じゃないけどそれでも幸せを目指して歩いていけたと解釈した。
加連と出会った過ごした4日間。たった4日でも人は大切なものを作ることができるんだね。
もっとこの2人が早く出会ってほしかった。
終末系のお話しで世界を救うわけでもなくなんの解決もできないまま終わるのに読了感は悪くなく2人の幸せを願う素晴らしい小説だった。
本当に感無量だね。百合好きの人には絶対にお勧めできる最高の作品だ!


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ノノノ・ワールドエンド (ハヤカワ文庫JA)2016-02-24
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